展示標本のサイト
哺乳綱・長鼻目・ステゴドン科
manmmalia ・ Proboscidea ・ Stegodontidae
     



展示標本の紹介

       
標本データ 腹側(下)面 背側(上)面 外側面 内側面 前端面 後端面 備  考
標本No.2018070801
ステゴドン 左寛骨
Stegodon mandible
インドネシア、中部ジャワ、
         トリニール

第四紀更新世・70万年前
カブー(Kabuh)累層

長さ:442mm、幅:173mm、
厚さ:163mm、
重さ:3.9kg
ヤフーオークションで購入。
腰の骨のうち腸骨前部と座骨後
部、恥骨全部を欠く、左寛骨の
化石である。寛骨臼の直径が
135mmあり、大きさから成熟
した大人のものである。表面は
水磨によって滑らかで、黒い酸
化物が付着している。破断面は
薄茶色で骨本来の色である。
腸骨の内部の空隙には、砂礫が
詰まっている。

 ジャワ島トリニールの地層と化石
 ジャワ島のトリニールやサンギランは、ジャワ原人が発見された場所で有名である。
 この地域を流れるソロ川岸に露出する地層から哺乳類化石がたくさん発掘されてお
 り、その中にジャワ原人の化石も含まれていた。特に、乾期には一部干上がり、そ
 の底にある堆積物から多くの動物化石が顔をのぞかせる。この標本も河川の流水の
 浸食を受け、表面が摩耗して滑らかである。よって、河川の底に露出していた化石
 であり、地層や年代は不確定である。地域の住人は、これらの脊椎動物化石を土産物
 として販売していたが、現在、これらの化石は、空港で没収されるそうである。
 この標本は、40年前頃、規制が厳しくない時に業者が仕入れたものである。この地域
 に分布する中部カブー層には、テクタイトを含む層がある。テクタイトは、大きな隕
 石が落下したときの大爆発で、飛び散った溶けた高温物質が、高速飛行をしながら
 急冷しガラス化したものであると考えられている。ほとんどが、ケイ酸塩を主成分と
 するガラスで、上部地殻を構成する岩石と同じ成分である。ほとんどが黒色をして
 いる。流紋岩質の溶岩が急冷してできる黒曜石もケイ酸塩を主成分とするガラスで
 あるが、かなりの気体成分を含有する。テクタイトは、気体成分をほとんど含まず、か
 なり高温で気体成分を気化させたあと固まったものと考えられている。オーストラリ
 アと東南アジアから発見されるテクタイトは、年代及び成分が一致し、成分が、オース
 トラリア頁岩に類似する。よって、更新世のある時期に、大きな隕石がオーストラリア
 中部に落ち、テクタイトが広く分布していると考えられている。以前ベトナムのハノ
 イの土産店で購入したものがある(下の写真参照)。現在ではこれらのテクタイトが、
 年代測定により約70万年前のものであることがわかっている。よって、この標本も約
 70万年前・前後に相当する地層から産出したものである。

左は、東京の恐竜展で購入したテクタイトで、
扁平な長楕円体である。ややゆっくり回転しな
がら飛翔したと考えられる。右下は、ベトナム
旅行のハノイの土産物店で購入したテクタイト
である。液滴状の形であり、かなり高速回転で
飛翔した際にできる形らしい。右上は、インドネ
シア・中部ジャワ・サンギラン地域のカブー層か
ら産出したテクタイトである。
インドネシア・中部ジャワ・トリニールの
ジャワ原人(ホモ・エレクトス)発掘地。
オランダの若い解剖学者デュボアが、1891
年にトリニールのソロ川沿いの地層を発掘
し、多くの哺乳類化石とともに最初のジャ
ワ原人の頭骨片を発見した場所である。
ソロ川は、乾期に水位が下がり、写真の中
央付近の川底が露出した。

ステゴドン(アケボノゾウ)の腰の骨「狭山
市立博物館」。腰の骨は、左側の「腸骨」と寛
骨臼に大腿骨を関節する中央の「寛骨」、右
側の「座骨」と一体になっている。標本No.
2018070801の標本は、黒い点線(濃:手前
、薄:奥)で仕切られた部分の「左寛骨」の部
分骨である。
ステゴドンの全身骨格。神戸市埋蔵文化財セ
ンターに展示してある。兵庫県の明石海峡付
近の海底からステゴドンの化石が地引き網等
によって引き上げられている。切歯(牙)が、ナ
ウマンゾウほど内側にねじれず、緩やかに上
方に曲がっている。


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