展示標本のサイト
哺乳綱・長鼻(ゾウ)
目・ ゾウ科・マンモス属 manmmalia ・ Proboscidea ・ Elephantidae・Mammuthus |
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標本データ | 咬耗(下)面 | 歯根底(上)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.97060809
マンモス 上顎右第4乳臼歯 Mammuthus primigenius オランダ、北海、Brown Bank 第四紀更新世・3万年前 地層不明 長さ:107.7㎜、幅:52.6㎜、 高さ:76.5mm、 重さ:405g |
第10回東京国際ミネラルフェア(新宿 ショー)で、Simon Cohen Fossils より購入。咬耗面が狭く、咬耗が ほとんど進んでいない。歯根も 未発達である。ラメラが咬耗面 と55°で交わことから、上顎の歯 である。大きさから、幼体の歯だ とわかる。咬板(ラメラ)の枚数 が10枚で、最後のラメラも割れ ていたり、もっとありそうであ る。よって、萌出したての上顎 右第4乳臼歯と思われる。 |
標本データ | 咬耗(上)面 | 歯根底(下)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.97060810
マンモス 下顎右第1大臼歯 Mammuthus primigenius オランダ、北海、Brown Bank 第四紀更新世・3万年前 地層不明 長さ:147.1㎜、幅:63.4㎜、 高さ:115.9mm、 重さ:1.04kg |
第10回東京国際ミネラルフェア(新宿 ショー)で、Simon Cohen Fossils より購入。ラメラが咬耗面とほ ぼ直角で交わり、咬耗も進み、 咬耗面も凹んでいるので、下顎 の歯である。歯冠長や幅が小さ いので、5歳から10代の若い個 体の歯だとわかる。側面がセメ ント質で被われ、歯根も発達し ている。咬板(ラメラ)の枚数が 13枚であることから、下顎右第 1大臼歯と思われる。 |
標本データ | 外側面 | 内側面 | 前面 | 後面 | 背側(上)面 | 腹側(下)面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2009082301
マンモス 右肩甲骨 Mammuthus primigenius ポーランド、北海 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:345mm、幅:220mm、 厚さ:128mm、 重さ:2.4Kg |
ヤフーオークションで購入。 右肩甲骨の下半分の部分化石で ある。上腕骨との関節部分であ る関節窩も保存され、烏口突起 も折れているが、穴が見える。 肩甲棘も高く保存されているが 、肩峰は、欠如する。劣化があり 、表面が剥がれやすくなってい る。 |
標本データ | 咬耗(下)面 | 歯根底(上)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2010091301
マンモス 右上顎骨 Mammuthus primigenius ロシア、シベリア 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:395mm、幅:255mm、 高さ:198mm、 重さ:3.9Kg |
ヤフーオークションで購入。 切歯骨(牙が入っていた部分)か ら上顎歯の奥までが保存された 上顎骨である。第2大臼歯の後ろ に歯根の穴が見られるので、第 3大臼歯が奥にあったと思われ る。頬骨の付け根も保存されて いる。第2大臼歯が外れたので 計測データは、大臼歯を除いた 値である。 |
標本データ | 咬耗(下)面 | 歯根底(上)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2010091302
マンモス 上顎右第2大臼歯 Mammuthus primigenius ロシア、シベリア 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:165mm、幅:100mm、 高さ:165mm、 重さ:1.64Kg |
ヤフーオークションで購入。 No.2010091301の上顎骨に 付いていた大臼歯であるが歯根 との境で折れ、脱落した。歯根 の破片を接着し、上顎骨に入れ ようとしたが入らず、別にした。 第2大臼歯の後半のラメラ8枚 分が残っている。前半8枚ほど は、脱落している。30代~40代 と思われる。 |
標本データ | 前側面 | 後側面 | 外側面 | 内側面 | 上端面 | 下端面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2011040401
マンモス 左脛骨 Mammuthus primigenius ロシア、シベリア 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:562mm、幅:180mm、 厚さ:152mm、 重さ:4.9kg |
ヤフーオークションで購入。 左脛骨のほぼ完全な標本。関節 面も骨全体の表面もよく保存さ れている。わずかに、上下端の 角が欠けていたり、摩耗してた りする。 |
標本データ | 咬耗(上)面 | 歯根底(下)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2013121901
マンモス 下顎右第3大臼歯 Mammuthus primigenius オランダ、北海、Brown Bank 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:231㎜、幅:78.9㎜、 高さ:106.9mm、 重さ:1.68kg |
ヤフーオークションで購入。 ラメラが咬耗面とほぼ直角で交 わり、 咬耗面も凹んでいるので、 下顎の歯である。後半部の咬耗 があまり進んでおらず、ラメラ のエナメル質が連続しない。ラ メラの枚数が17枚で、枚数の割 に歯冠長や幅が小さめである。 メスかもしれない。30代から 40代の個体の歯と思われる。 頬側から見ると半月状なので、 下顎右第3大臼歯と思われる。 |
標本データ | 咬耗(下)面 | 歯根底(上)面 | 頬(外)側面 | 舌(内)側面 | 前側面 | 後側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2016083101
マンモス 上顎左第2大臼歯 Mammuthus primigenius オランダ、北海、Brown Bank 第四紀更新世・2万年前 地層不明 長さ:153.7㎜、幅:67.9㎜、 高さ:127.2mm、 重さ:985g |
ヤフーオークションで購入。 歯冠が高く、咬耗面が凸なの で、上顎の歯である。後半部 の咬耗がなく、前の2枚以外 のラメラのエナメル質が連 続しない。ラメラの枚数が15 枚で、歯冠幅が広めである。 20代から30代の個体の歯と 思われる。上顎左第2大臼歯 と思われる。 |
マンモスとは、マンモス属(Mammuthus)に属する種の総称である。シベリアの永久凍 土から発掘される、Mammuthus primigenius(Blumenbach,1799)は、ケナガマンモ スと名付けられた。別名、ウーリーマンモスとも呼ばれる。シベリアや北海からは、おびた だしい量の化石が見つかっている。当時形成された陸成の地層のなかにあったゾウの化石が、 洗い出されて海釜(かいふ)と呼ばれる深まりに集められたと考えられている。底引き網漁の 網にかかって引き上げられている。このとき、2万年以上前に生きていたケサイやウマ、ト ナカイ、ジャコウウシといった動物の化石が網の中に入ることがあった。 約8万年前から1万5千年前まで、地球全体は最終氷期にあたり、氷河が発達し、海面の高さ は、今よりも130mほど低く、日本は大陸と地続きであった。 日本で産出するマンモス属の化石は、古いもので、120万年前頃のものがある。これらは、 ムカシマンモス(Mammuthus protomammonteus)と呼び、ケナガマンモスの先祖であ る。120万年前頃、中国大陸から渡ってきたと考えられ、70万年前頃まで日本各地に生息し ていた。体高は、4mほどであった。 マンモスは、現生のゾウでは、アフリカゾウよりもアジアゾウに近いとされている。マンモ スの古い先祖は、メリジオナリスゾウ(Mammuthus meridionalis)で、そのゾウは1500 万年前から100万年前にユーラシア大陸の広い地域で生活をしていた。また、その子孫は、 トロゴンテリゾウ(Mammuthus trogontherii)であって、肩の高さが4.5mもある巨大な ものもいた。このトロゴンテリゾウの直接の子孫が、ケナガマンモスである。 メリジオナリスゾウの仲間で北アメリカ大陸に渡ったものの子孫には、肩の高さが4mもあ るコロンビアマンモス(Mammuthus columbi)が出現した。マンモス属としては最大かつ 最後に現れた種であり、アメリカ合衆国からメキシコ、南米にかけて生息していた。人類と共 存していたが、1万2000年前に絶滅した。北アメリカのカリフォルニア沖のサンタローザ島 では、肩の高さが1.2メートル程度の小型のピグミーマンモスの化石も知られている。 日本列島周辺では、マンモスの臼歯の化石が、オホーツク海の海底やサハリン(樺太)などか らたくさんみつかっている。また、北海道の各地の海岸地帯からも、数は多くないが、マン モスの臼歯がいくつか発見されている。中国の東北地方・河北省から朝鮮半島北部にかけて も、マンモスの化石がたくさん出土していて、氷河時代のアジアでは、マンモスは北緯40度 以北の地域に広く分布していたことがわかる。日本列島では、マンモスの化石は、山陰沖海 底からみつかった1個の臼歯化石を除けば、すべてが北海道およびその周辺の海底からのもの である。それらについての年代測定値は、4.5万~2万年前を示す。北海道では、氷河時代 の2回の寒冷期、すなわち6万年前~3万5000年前とその後の2万5000年前~1万年前の2 回にわたって、マンモスが樺太を渡って南下してきたことが明らかにされた。なお、今日、北 海道に生息するエゾナキウサギやエゾシマリス、エゾシカ、キタキツネ、エゾヒグマなどは、 寒冷な時期に北海道に南下してきたマンモス動物群の生き残りとされている。 マンモスが、津軽海峡を越えて本州地域にまで到達した証拠は、これまでは知られていない。 しかし、岩手県、長野県、岐阜県、広島県、山口県、福岡県などの本州の各地からは、マン モス動物群の仲間のヘラジカ、オオツノシカ、ヒグマ、サイなどの化石がみつかっている。 また、北海道では、ナウマンゾウの化石もいくつか知られている。氷河時代の終わりのころ の2回にわたる寒冷期の間の温暖期には、温帯樹林が広く分布し、本州に住んでいた森林生 活動物のナウマンゾウのなかには、本州から北上してきて北海道に住み着いたものもいた。 また、そのような温暖な時期には、マンモスは、より北方の寒冷な地域に移動し、生活の場 をナウマンゾウに明け渡していた。1万1700年前頃から、温暖化により氷河が溶け、海面が 上昇し、草原が水没するなど食糧の不足が、マンモスの衰退に拍車をかけた。 マンモスの群れは、寒く食料のある草原を求め、北米やユーラシア大陸の北へ北へと移動した。 シベリア北東部沖の北極海に位置するウランゲリ島は、ユーラシア大陸から135Kmほど離 れた場所に位置している。ホッキョクグマの繁殖地として有名で、世界遺産にも指定されて いる自然豊かな場所だ。最終氷期の後、マンモス達は、ここウランゲリ島にたどり着き、コビト マンモス(Mammuthus exilis)として生き延び続けたが、4000年前頃までに絶滅した。マン モス属の最後の生き残りだった。 |
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写真は、茨城県自然博物館の松花江マンモス (Mammuthus trogontherii sungari)の全身骨格。 トロゴンテリゾウ(Mammuthus trogontherii zhalainuoer)、アジアステップマンモスとも呼ばれ る。中国で発見された世界最大級のマンモスで、体長 9.1m、高さ5.3m、推定体重は、10tもある。1980年に 中国の内モンゴル自治区のザライノールの露天堀鉱山 から発見されたもので、今から34,000年前頃の最終 氷期に生きていた。 |
写真は、東海大学自然史博物館のケナガマンモス (Mammuthus primigenius)の全身骨格。 肩までの高さが3m。アメリカのウィスコンシン州で発見さ れ、ポトマック博物館に展示してあるものが原標本。 弱ったケナガマンモスが、ツンドラの原野に倒れ込む姿を復 元したとのこと。 |
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ケナガマンモスの復元全身骨格図。地面から肩までの高さが3.5mほどで、マンモス属の中では 平均的な大きさである。現在のアフリカゾウより一回り小さい程度の大きさである。背中を横か ら見ると肩の部分が高く盛り上がり、腰の部分にかけて低くなる。ケナガマンモスの特徴的な 大きくカーブした長い切歯(牙)は、武器ではなく草の上に積もった雪をはらったり、氷を持ち上 げたりしたと考えられている。一番長いものだと4mあった。重い牙を支えるために、頭の骨が後 ろの方に尖っていて、強力な筋肉が付いていた。 |
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ケナガマンモスの下顎、成長段階(異なる個体)の図。下顎骨の成長とともに、後から前へ押し出すように 大臼歯が出てくる。13歳の図では、M1(第1大臼歯)の前に2つの穴が空いている。これは、DP4(第4乳 臼歯)の歯根が入っていた穴である。生きているときには、DP4は付いていた。化石化の過程で脱落した と思われる。53歳以上の図のM3(第3大臼歯)が最後の歯で、60歳ぐらいでこれが脱落したら、植物を噛 みつぶすことができないので、飢餓状態になり死に至る。 Diego Alvarez-Lao and Marcos Mendez,の論文「Ontogenetic changes and sexual dimorphism in the mandible of adult woolly mammoths」 Geobios,2011,vol.44,335-343p より改編。 |
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