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哺乳類(綱)・食肉目・イヌ型亜目・ クマ下目・鰭脚類 manmmalia・Carnivora・Caniformia・ Arctoidea・Pinnipedia |
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哺乳類は陸上動物の進化の過程で肉を食べる哺乳類のグループである食肉目Carnivoraの中から、海 へと生活の場を移した哺乳類の1グループが鰭脚類である。鰭脚類という名前は肢がひれ状になって いることからきている。クジラも前肢がひれ状になっているが、後肢は退化している。それに対し て、鰭脚類では4本の肢がすべてひれ状で残っている。また、クジラは出産や子育てを含めて一生を 水中で過ごすのに対して、鰭脚類、カワウソ、ラッコなどは少なくとも出産は陸上で行う。クジラの 進化の歴史は5300万年もあるのに対して、鰭脚類の一番古い化石は2250万年前に出現したエナリア ークトスであって、鰭脚類の水中適応の歴史はクジラの半分程度しかない。最近の研究で、鰭脚類の 旨味に関する味覚遺伝子に、味覚の機能を失わせるような突然変異が起きていることがわかった。 鰭脚類が海での生活において、餌を噛まずに飲み込むことにより、舌で味を感じる必要性がなくなっ たためと考えられている。アザラシのグループに共通の突然変異とアシカとセイウチのグループに 共通の突然変異が見つかる一方で、全ての鰭脚類に共通の突然変異が見つからない。よって、アザ ラシはアザラシで海に進出し、アシカ・セイウチはアシカ・セイウチで海に進出したのではないかと 考えられる。北極において陸上生活をする鰭脚類の祖先が少なくとも2種以上存在し、それぞれ大西 洋(アザラシ)と太平洋(アシカ、セイウチ)に進出したのではないかと考えられる。化石の記録か らもこの考えは、裏付けられる。2007年、カナダの北極圏、ヌナブト準州にあるデボン島で隕石クレ ーターを調べている際に発見された、プイジラ・ダーウィニ(Puijila darwini)は、2000万~2400万 年前の「歩くアザラシの化石」といわれ、筋肉質のしっかりした四肢と長い尾、さらに足には水かき があり、泳ぎも歩きも優雅にこなしていた。 |
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