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剣竜の種類
剣竜は、四足歩行で、草食性の鳥盤類恐竜の一グループである。化石は、北半球のジュラ紀中期
(約1億5900万年前)から白亜紀前期の地層から発見されている。地理的起源は、不明である。剣
竜類には、ファヤンゴサウルス科(Huayangosauridae)とステゴサウルス科(Stegosauridae)
があり、大部分の剣竜は、ステゴサウルス科に含まれ、ジュラ紀後期から白亜紀前期に生息して
いた。ジュラ紀後期には、中国で多様化が頂点に達した。白亜紀前期になると、化石の発見は、
少なくなり、グループの多様化が低下し、種数が減少した。最後期の剣竜は、白亜紀前期(約1億
3000万年前)から発見されている。


以下に、剣竜類の分類と主な属を示す。


剣竜類

ファヤンゴサウルス科
① ファヤンゴサウルス (Huayangosaurus) (中国、四川省)
② チョンキンゴサウルス (Chungkingosaurus) (中国、重慶市)
③ ? レグノサウルス (Regnosaurus) (イギリス、サセックス)
④ トゥオジャンゴサウルス (Tuojiangosaurus) (中国、四川省)
⑤ パラントドン (Paranthodon) (南アフリカ)

ステゴサウルス科
⑥ ジャンジュノサウルス (Jiangjunosaurus) (中国、新疆ウイグル自治区)
⑦ ギガントスピノサウルス (Gigantspinosaurus) (中国、四川省)
⑧ キアリンゴサウルス (Chialingosaurus) (中国、四川省)
⑨ ケントロサウルス (Kentrosaurus) (タンザニア)
⑩ ダケントルルス (Dacentrurus) (イギリス、フランス、スペイン)
⑪ ロリカトサウルス (Loricatosaurus) (イギリス、フランス)
⑫ モンコノサウルス (Monkonosaurus) (中国、チベット)
⑬ ヘスペロサウルス (Hesperosaurus) (アメリカ合衆国、ワイオミング州)
⑭ ミラガイア (Miragaia) (ポルトガル)
⑮ ステゴサウルス (Stegosaurus) (アメリカ合衆国、ワイオミング州)
⑯ ウエルホサウルス (Wuerhosaurus) (中国、新疆ウイグル自治区)

   「Raven,T.j.; Maidment,S.C.R.(2017). "A new phylogeny of Stegosauria
    (Dinosauria,Ornithischia)". Palaeontology. 2017(3):401–408」より改編。


① ファヤンゴサウルス (Huayangosaurus)

最初期の剣竜は、中国の四川省華陽(ファヤン)のジュラ紀中期(約1億590
0万年前)の地層から発見されたファヤンゴサウルス(Huayangosaurus)
で、全長は約4m、体重が500Kgであった。小さな頭蓋骨と背中に2列の
ペアのプレート(骨板)と尾の先に4本のスパイク(棘)を持っていた。プ
レート(骨板)は、ステゴサウルスよりスパイク状であった。特徴的なの
は、口の前の嘴状の上顎骨に前歯があることである。その後のすべての
剣竜類は、これらの歯を失った。


② チョンキンゴサウルス (Chungkingosaurus)

「重慶トカゲ」を意味するチョンキンゴサウルスは、現在の中国のジュラ
紀後期上部シャキシミアオ累層で発見された。仙骨の骨化から判断し、明
らかに成体であるが、体長4m未満の最小の剣竜類の1つである。


③ レグノサウルス (Regnosaurus)

「サセックストカゲ」を意味するレグノサウルスは、イギリス、サセック
ス、カックフィールドの白亜紀初期のタンブリッジウェルズサンド層で
発見された。3本の歯を含む右下顎骨片のみで、15本の歯のソケットが
見られ、長さ33cmある。体長は、推定で4mとされる。顎が非常に似て
いるため、ファヤンゴサウルスに似た剣竜類であると結論付けられた。し
かし、多くの研究者は、不明または疑わしい名前としている。


④ トゥオジャンゴサウルス (Tuojiangosaurus)

中国、四川省のジュラ紀後期、上部シャキシミアオ累層で発見された。
トゥオジャンゴサウルスは、「沱江(揚子江の支流)のトカゲ」という意
味である。大型の剣竜類で、長さは6.5m、体高は約2m、体重は約4t。
初めて発見された肩に棘のある剣竜類である。他の剣竜類より頭部を
低く保ちやすい構造になっており、地面近くの植物を食べていたと考え
られている。


⑤ パラントドン (Paranthodon)

南アフリカ、ケープ州、Dassieklip近郊のブッシュマンズ川の渓谷の白亜
紀前期、カークウッド累層から部分的な頭骨の化石が発見された。化石
は、吻部の後部で、歯のついた上顎骨、前上顎骨後部、部分的な鼻骨であ
った。体長5m、体重は454〜907kgと推定された。南アフリカで最初に
発見された剣竜類で、レグノサウルスに次いで二番目に発見された剣竜類
であった。


⑥ ジャンジュノサウルス (Jiangjunosaurus)

ジャンジュノサウルスは、中国、新疆ウイグル自治区ユングガル盆地のジ
ュラ紀後期のシシュゴウ累層から発見された。化石は、下顎骨、後部頭蓋
骨、軸椎骨、後部頸椎骨、肋骨、肩甲骨、烏口骨、および2つの首のプレ
ート(骨板)であった。中型の剣竜類で、体長6m、体重は2.5tと推定され
た。亜成体個体であった。ステゴサウルス科内では基底的な位置にあると
結論付けた。


⑦ ギガントスピノサウルス (Gigantspinosaurus)

ギガントスピノサウルスは、中国、四川省、金泉近郊、彭塘の、ジュラ紀
後期の上部シャキシミアオ累層で発見された。化石は、下顎を除く頭蓋骨、
後足、および尾端を欠いている。おそらく亜成体の個体の部分的な骨格で
構成されていた。中型の剣竜類で、体長4.2m、体重は700kgと推定され
た。比較的小さな背板と大きな肩棘、肩甲骨傍棘が特徴である。特に、肩
から伸びる巨大な棘を持つので、「巨大な棘トカゲ」という意味の名が付
けられた。


⑧ キアリンゴサウルス (Chialingosaurus)

キアリンゴサウルスは、中国、四川省、渠県で、ジュラ紀後期の上部シャ
キシミアオ累層で発見された。化石は、頭蓋骨を欠き、6つの椎骨、烏口
骨、上腕骨、大腿骨、右橈骨、3つの棘である。幼体または亜成体の個体
の部分的な骨格である。小型の剣竜類で、体長4m、体重は150kgと推定
された。中国から記載された最初の剣竜類である。


⑨ ケントロサウルス (Kentrosaurus)

アフリカ大陸タンザニアのジュラ紀後期のテンダグル累層で、ドイツ遠征
隊が大量のケントロサウルスの化石を発見したが、第二次世界大戦でほと
んどが破壊された。多個体の部分骨をつなぎ合わせた1体の骨格が存在す
る。小型の剣竜類で、体長は4~4.5m、体重は700~1600kgに達した。
仙骨に7個の椎骨がある。全長の半分強が尾で構成されている。頭蓋骨・
下顎骨の部分骨は、8体分が見つかっている。完全な頭蓋骨は、見つかっ
ていない。口は角質のクチバシとなっている。狭い鼻と小さな歯は、ステ
ゴサウルスに似ている。7対の小さなプレートが、首と背中に沿って並び、
肩に長いスパイクが1対、腰から尾にかけてスパイクが対に並んでいた。


⑩ ダケントルルス (Dacentrurus)

ヨーロッパのジュラ紀後期(1億5400万年前~1億5000万年前)に生息し
た大型の剣竜類である。ホロタイプは、イギリス、ウィルトシャーにある
スウェイドン大採石場のキンメリッジ・クレイ累層から発見された。化石
は部分的で、外観の多くは、不明である。体長7~8m、体重5t程と推定さ
れている。ステゴサウルスと同じ外形だとみなされるが、プレートとスパ
イクの配置は、違うことが知られており、首から背に2列の小さなプレー
トが並び、2列のより長いスパイクが尾に沿って並んでいた。


⑪ ロリカトサウルス (Loricatosaurus)

イギリス、ピーターバラ、フレトンにあるジュラ紀中期のオックスフォー
ド粘土層から発見された。2つの頸椎、6つの胴椎、16個の尾椎、肋骨片、
部分的な骨盤、部分的な右前肢、部分的な左後肢、皮骨、1つの肩甲骨の
棘、尾の棘などが含まれていた。体長7m、体重4tである。ロリカトサウ
ルスは、ステゴサウルス科の基底属として位置付けられている。


⑫ モンコノサウルス (Monkonosaurus)

中国、チベットのジュラ紀後期のローアイン累層から発見された。化石は、
頭蓋骨を欠いた部分的な骨で、仙骨付きの骨盤、2つの椎骨、3つのバッ
クプレートだけである。疑わしい属とされている。腸骨の長さが905mm
あり、体長5m程と推定されている。最も初期の剣竜類の1つである。


⑬ ヘスペロサウルス (Hesperosaurus)

アメリカ、ワイオミング州やモンタナ州のジュラ紀後期のモリソン層から
発見されている。比較的保存の良い骨格がある。ステゴサウルスと近縁だ
とされる。背部に2列の骨板が互い違いに並ぶこと、尾端に4本の棘を持
つことなどの類似点がある。背部の骨板は、ステゴサウルスに比べ、高く
ないが、前後に長い。ステゴサウルスに比べ、前後に短く、高い頭骨を持
っていた。上顎骨歯の数は、片側20本で、ステゴサウルスよりも少ない。
ステゴサウルスの歯に似ているが、やや大きい。体長6~7m、体重2~3t
と推定されている。


⑭ ミラガイア (Miragaia)

ポルトガル、ポルト・ミラガイア地区のジュラ紀後期(約1億5000万年前)、
ロウリニャン層からヨーロッパ産の剣竜類の頭骨としては初めて発見され
た。化石は、ほぼ完全な体前部の骨格であり、吻部の大部分、15個の頚椎
(頭骨と関節する最初の2個は失われている)、肩帯、前肢の大部分、13個
のプレートが含まれる。特徴は、17以上の頚椎で構成された長い頸である。
これは剣竜類では最も長い。体長5.5mと推定されている。


⑮ ステゴサウルス (Stegosaurus)

ステゴサウルスの化石は、アメリカ西部とポルトガルのジュラ紀後期の地
層から発見されている。コロラド州のモリソン層からは多量の化石が産出
している。有名なのは、ワイオミング州、レッドキャニオン採石場から、
85%が無傷に保存された、全身骨格が発見されたもので、「ソフィー」(
Stegosaurus stenops)と名付けられ、ロンドン自然史博物館に収蔵さ
れている。背中に骨質の板(プレート)が、互い違いに立ち並んでいるのが
特徴。17から22の別々のプレートと平らな棘からなる真皮プレートがあ
る。最大のプレートは腰の上にある。これらのプレートは、表面と内部に
多くの血管の跡と思われる痕跡があり、熱を放射し体温を調節するのに役
立っていたとする説が有力である。仙骨には、4個の仙椎がある。仙骨の
前方には、10個の頸椎と17個の胴椎があった。仙骨の後方には、46個の
尾椎骨があった。頭は小さく、脳のサイズはクルミ程度である。尾の棘は
4本である。体長は、7~9m、体重は、約4tである。


⑯ ウエルホサウルス (Wuerhosaurus)

最後期の剣竜は、中国の新疆ウイグル自治区の白亜紀前期(約1億3000万
年前)のトゥグル層群から発見されたウエルホサウルス(Wuerhosaurus)
で、体長7m、体重4tである。



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