展示標本のサイト
哺乳綱・鯨目・原クジラ亜目・ バシロサウルス科・ドルドン属 manmmalia ・ Cetacea ・ Archaeoceti ・ Basilosauridae ・ Dorudon |
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標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072201
ドルドン 下顎右第4前臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:68.1mm、 幅:42.3mm、 厚さ:10.6mm、 重さ:25.42g |
ヤフーオークションで、広島市の YTさんより購入。近心(前)側の切 縁が傾斜が急で、小さい副尖頭が 4つある。遠心(後)側の切縁が傾 斜が緩やかで、大きい副尖頭が4 つある。よって、下顎の前臼歯と 思われる。主尖頭は、遠心(後)側 に傾く。歯根は2本で先細り、歯根 底に向かって広がる。歯冠は、舌 側に凸になるので、下顎右の歯で ある。切縁の副尖頭の数から下顎 右第4前臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072202
ドルドン 下顎左第2後臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:98.1mm、 幅:40.1mm、 厚さ:14.4m、 重さ:37.48g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさんより 購入。近心(前)側の切縁が傾斜が急で、一見 副尖頭はないように見える。極小さい副尖頭 が歯冠底に4つある。遠心(後)側の切縁が傾 斜が緩やかで、大きい副尖頭が3つある。よ って、下顎の後臼歯と思われる。主尖頭は、 遠心(後)側に傾く。歯根は2本で近心側が長 く細い。歯根底に向かって狭まり、近心側が 近心に向かって曲がる。歯根は作り物のよう に感じる。歯冠は、舌側に凸になるので、下 顎左の歯である。切縁の副尖頭の数から下顎 左第2後臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072203
ドルドン 下顎右第3前臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:71.0mm、 幅:42.3mm、 厚さ:11.4mm、 重さ:25.76g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさん より購入。近心(前)側の切縁が傾斜が急 で、小さい副尖頭が5つか6つある。遠心 (後)側の切縁が傾斜が緩やかで、大きい 副尖頭が4つある。よって、下顎の前臼歯 と思われる。主尖頭は、遠心(後)側に傾 く。歯根は2本で先細り、歯根底に向かっ て広がる。歯冠は、歯根との境で屈曲する ように頬側に曲がり、全体的に頬側に湾 曲する。舌側に凸になるので、下顎右の歯 である。切縁の副尖頭の数から下顎右第 3前臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072204
ドルドン 下顎右第2後臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:60.1mm、 幅:35.2mm、 厚さ:10.0mm、 重さ:15.3g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさん より購入。近心(前)側の切縁が傾斜が急 で、鋭い切縁を形成し、低く極小さい副 尖頭が波打つ様にある。遠心(後)側の切 縁の傾斜も近心側と同じくらい、大きい 副尖頭が4つある。よって、顎の後臼歯 と思われる。主尖頭は、直立しわずかに 遠心(後)側に傾く。歯根は先細りで、歯 根底に向かって広がる。歯冠は舌側に凸 になり、かなり唇側に曲がる。下顎右の 歯である。切縁の副尖頭の数から下顎右 第2後臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072205
ドルドン 下顎左第2前臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:73.8mm、 幅:36.7mm、 厚さ:13.5mm、 重さ:22.36g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさんよ り購入。近心(前)側の切縁が傾斜がかなり 急で、極小さい副尖頭が5つか6つある。遠 心(後)側の切縁も傾斜が急で、大きい副尖 頭が4つある。よって、下顎の前臼歯と思わ れる。主尖頭は、長く伸び、遠心(後)側に わずかに傾く。歯根は2本で幅広く先細り、 歯根底に向かって平行である。歯冠は、歯 根との境で屈曲するように頬側に曲がり、 全体的に頬側に湾曲する。舌側に凸になる ので、下顎右の歯である。前切縁の副尖頭 の状態から下顎左第2前臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072206
ドルドン 上顎右第4前臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:59.9mm、 幅:34.3mm、 厚さ:13.7mm、 重さ:19.92g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさんより購入。 近心(前)側の切縁の傾斜がかなり急で、やや大き い副尖頭が3つある。遠心(後)側の切縁は傾斜が 緩やかで、大きい副尖頭が3つある。よって、上顎 の前臼歯と思われる。主尖頭は、先端が欠損し、 遠心(後)側にわずかに傾く。遠心側歯冠の歯根と の境が、頬側に盛り上がる。そのため歯根の遠心側 は厚みがあり、歯根底に向かって2本が平行であ る。頬側への湾曲はほとんどない。歯冠上部がわ ずかに頬側に曲がる。舌側に凸になるので、上顎 右の歯である。歯根や切縁の副尖頭の状態から上 顎右4前臼歯と思われる。 |
標本データ | 歯冠頬(唇)側面 | 歯冠舌(内)側面 | 歯冠近心(前)側面 | 歯冠遠心(後)側面 | 歯冠(上)側面 | 歯根底(下)側面 | 部位図 | 備 考 |
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標本No.2017072207
ドルドン 上顎左第4前臼歯 Dorudon atrox モロッコ、西サハラ、Dakhla 始新世後期・4000万年前 Samlat Formation 高さ:88.8mm、 幅:47.2mm、 厚さ:19.0mm、 重さ:53.47g |
ヤフーオークションで、広島市のYTさんより購入。 近心(前)側の切縁の傾斜がかなり急で、波打つ副 尖頭が3つある。遠心(後)側の切縁は傾斜が緩や かで、大きい副尖頭が3つある。よって、上顎の前 臼歯と思われる。主尖頭は、直立する。遠心側歯 冠の歯根との境が、頬側に盛り上がる。そのため 歯根の遠心側は厚みがあり、歯根底に向かって2本 が平行である。歯冠の頬側への湾曲はほとんどな い。歯根との境で頬側に屈曲する。舌側にわずか に凸になるので、上顎左の歯である。歯根や切縁 の副尖頭の状態から、上顎左第4前臼歯と思われ る。 |
ドルドン(
Dorudon)は、槍のような歯という意味で名付けられた。新生代古第三紀始新世後期 (約4500万年前~3600万年前)に生息していた原クジラ類の絶滅した属である。現生のクジラ の祖先に最も近縁な生物である。体長約4.5m~5m。イルカに似た流線型の身体を持つ。噴気孔は 頭頂部と吻のほぼ中間にある。現生クジラが頭頂部にあるので中間的な進化形態を示す。しかし 現生のイルカの様なメロン体を持たないため、エコロケーション能力は持たなかったと思われる。 鋭い歯を持ち魚やイカ、甲殻類などを捕食していたと考えられている。同時期に生息し、形態が似 ている体長10mを超す、バシロサウルスに捕食された幼体の化石が産出している。バシロサウル スは、1840年に爬虫類と間違えて記載された。そのため、「爬虫類の王」を意味する名前がつけ られた。ドルドンの化石が、まとまって産出することから、群れで生活し、幼体の身をバシロサウ ルスの捕食から守ったと考えられている。 |
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ミシガン大学自然史博物館に展示されている下手前のドルドン・アトロックス(Dorudon atrox) と上奥のバシロサウルス・イシス(Basilosaurus isis)。エジプトのカイロにあるワディ・アル・ ヒタン「クジラの谷」で発見された、15mのバシロサウルスと5mのドルドン。バシロサウルスは、 腰部の背骨が細長く、尾鰭はあったが、身をくねらせるようにして泳いでいたため、それほど早 く泳げなかったのではないかと思われている。それに対し、ドルドンは、短く太い背骨を持ってい た。現世のクジラのように尾鰭を使って活発に泳いでいたと考えられる。 |
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後肢は現生クジラほど退化しておらず、背骨から 遊離した骨盤に関節する小さな足の骨を持つ。 わずかに体外への出っ張りがあったと思われる。 |
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ドルドン・アトロックスの頭部の画像と上顎、下顎歯の模式図である。 |
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ドルドン・アトロックスの歯式は、上顎 3.1.4.2、下顎 3.1.4.3 である。 ドルドン類の上顎切歯や臼歯は、間隔を開け並び、小さなI1を除いて、上顎歯間の隙間に下顎切 歯が収まる穴を含む直線的な歯領域を形成している。上顎切歯は単根(歯根が1本)の単純な円錐 形の歯で、副咬頭がなく、下顎切歯と区別がつきにくい。上顎切歯は、ほとんどの標本で欠けて いる。上顎の犬歯は、他の大きい上顎切歯より小さい、そして、まっすぐで先端は舌(内)へ向く。 P1は、唯一の単根の上顎前(小)臼歯である。明らかに、P1は円錐形で、他の前(小)臼歯やC(犬歯) よりも小さく、副咬頭状突起を欠いている。P2は最大の上顎歯であり、大きな副咬頭を持つ上顎 の最初の歯である。他の臼歯のように、頬側が圧縮され、二重根(歯根が2本)である。それは、主 咬頭(Protocone)から遠位方向にサイズが減少する副咬頭状突起を有し、三角形の外形をした歯 となる。P3はP2に似ている。P3は、P4よりわずかに大きいが、第3の歯根の残骸が舌側に突起 となる特徴がある。P4は、大きい遠位根が2つの歯根の融合によって形成されている。そのため、 歯根の付け根が盛り上がり、厚い。 上顎後(大)臼歯は頬骨弓側に伸びており、隣接する前(小)臼歯よりもかなり小さい。P4と同様に、 それらの遠位根は近心根よりも広く、2つの歯根の融合によって形成されている。後(大)臼歯の 外形は、前(小)臼歯の外形より丸みを帯びている。大臼歯の方が小臼歯より小さいので、大小で なく前後を用いて、前臼歯・後臼歯と呼ぶ方が良いかもしれない。 上顎切歯と同様に、下顎切歯は単根で、遠位に湾曲し、他の歯と間隔を開けて並ぶ円錐形の歯で ある。最小の歯であるI1は、歯の最前部にあり、その歯槽は、下顎結合に向かって開いたままで、 I2の歯槽に近い位置にある。I2、I3、およびCは非常に類似しており、I1よりもかなり大きい。 下顎小(前)臼歯は、二重根で、乳歯様の単根のようなp1を除いて頬側が圧縮された歯である。 p3は2番目に大きい歯で、p4は最大である。どちらも非常に似ており、中央の主尖頭が際立って いる。下顎臼歯では、近心縁の副咬頭状突起が、リエントラント溝と呼ばれる深い溝に置き換え られている。主咬頭は、原始的な原錘(Protoconid)である。m2とm3の形態は、非常に類似して いる。m3は上昇する下顎稜の上に高く位置している。 |
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